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気まぐれにNL・BLetc.健全から危ないモノまで。 今のとこメインはDMCとTOA。
2025年05月17日 (Sat)
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2007年05月29日 (Tue)
「ルーク、ナタリア来てるぞ」
「わかった」

ルークは自室で猫のメシュティアリカを撫でているところだった。因みにあの後カンタビレが一匹だと可哀相だといってもう一匹連れて来た。そちらはヴァンデスデルカと名付けたが、ガイが顔をしょっちゅう反らしていた。そのうちゴールデンでも飼ってガイラルディアと付けてやろうかと言ったら泣いてやめてくれと言っていたので冗談だよと言って飼っていない。

「ルーク、お久しぶりですわね」
「あぁ、そうだな二週間ぶりか」
「あのお話しの続き、聞かせてくださるかしら」
「あの話?」
「うん、ガイ様華麗に参上な話し」
「どんな話しだ…」

ナタリアはルークがガイに嘘を付いているのに気付いてこの話をガイにはしたくないのだなと思った。掠われて戻ってきたルークはいくらか秘密主義の気がある。

「ガイこちらの花、活けていただけますかしら」

ナタリアはたまたま持ってきていた薔薇の花束をガイに渡した。女性恐怖症なガイはナタリアから花を受け取るのに四苦八苦していたが、なんとか受け取ると水場へと歩いて行った。

「ルーク、部屋に参りましょう?」
「そうだな」

ルークはガイにごめんと心の中で謝りならナタリアを連れて自室へと戻って行った。その頃ガイは、ルークのがこっそりナタリアの持ってきた薔薇に仕込んだ眠り薬に引っ掛かってへたりこんで眠っていた。

………………………………………………………………………

「姫は世界を救うため、実の父を討ちました。その後世界は犠牲を伴いながらでありましたが救われました…終わり…」
「ルーク…お姫様はその後どうなさいましたの?」
「立派な為政者になったって。国民からも慕われてて国のためにって凄い頑張ってた」

ルークは苦笑しながらそう言った。

「しかしそのお姫様は国王の実の娘ではなかったのでしょう?」
「思い出は本物だよ、ナタリア。例え実の娘でなくても一緒に過ごした日々は偽物なんかじゃない」
「思い出は…本物…」

ナタリアは呟くように言った。ルークはナタリアの耳元で囁く。

「ナタリア、今晩港までこっそり一人で来てくれないか?俺も何とか抜け出すから」
「解りましたわ」

ナタリアは頷くとルーク手製のケーキに手を付け凹んだ。王宮のシェフのものより美味しい。

「…そのかわりルーク、私に料理を教えていただけないかしら」
「解った」

ルーク的にもナタリアが料理が上手くなる事は大賛成だった。今後の為にも。

…………………………………………………………………………

「アッシュ、何のつもりだバチカルなどに連れて来て」
「グレースと待ち合わせをしている、バチカルで合流だと」

日も暮れ、夕日が水平線の彼方に消えた頃、バチカルの港に二つの影があった。アッシュとラルゴだ。アッシュは目立つ紅い髪を隠す為、黒い外套を羽織りフードを被っていた。
「アッシュ、待たせましたね…連れてきましたよ」
「ナタリア」
「ルーク…ですの?」
「いえ、彼は私の上司です。ルークの方も見てきたのですが、今日に限って警備が厳しくて」

ナタリアとグレースは連れだって港に来ていた。ルークは連れ出せなかったとグレースは苦笑する。アッシュはよく言う…と思ったがグレースがルークだとばれては元も子もない。どうやらルークはナタリアに全部話したらしい。といっても肝心な部分はグレースで説明したのだろう。

「ラルゴ、こちらへ。ナタリア様も」

グレースがラルゴとナタリアを呼ぶ。ラルゴの姿が街灯の明かりに照らされた。

「お父様…ですの?」
「…メリル…」
「お父様…私、幸せ者ですわね。だって私にはお父様が二人もいるんですもの」

ナタリアはラルゴに抱き着いた。ラルゴも恐る恐るナタリアの背に手を回す。幼い娘は小さく強く抱きしめては壊れてしまいそうだったからだ。

「私、お父様に話してみますわ。もしそれで駄目ならお父様、一緒にダアトへ連れていってはくださいません?」
「ナタリア…」
「メリルで構いませんわ」

ナタリアは笑っていた。ラルゴは少々苦い顔をしている。

「ラルゴ、私はもう暫くバチカルで調べ物があるので後数週間バチカルに留まっていただきます」
「ヴァンには言ってある。俺は別件でエンゲーブに用があるから今からカイツールに向かうが」
「お父様、お願いです」

グレース、アッシュ、ナタリアから頼まれ、ラルゴは押し黙る。どのみちグレースから留まれと言われればそれは任務扱いなので留まらなければならないだろう。

「解った、留まろう」
「ありがとうございます、ラルゴ」
「ありがとうございます、お父様」

ナタリアはもう一度ぎゅっとラルゴを抱きしめた。

「ナタリア様、間もなく見張りが参ります。もうそろそろ戻らなくては。ではアッシュ、ラルゴを宿まで案内してください。私はナタリア様をお送りしてきますから」
「解った」
『気を付けろよ、ルーク』
『そうする。あとアッシュ、最近リグレットの様子が変だから見張っといて』
『あぁ』

グレースはナタリアの手を握るとバチカルの夜の闇に姿を消していった。

「アッシュ、お前とグレースは何故メリルの事を知っている」
「死人に口はねぇよ」

アッシュは皮肉な笑いを浮かべてラルゴを連れて宿へと向かったのであった。

Next→キムラスカ・バチカル宮殿内

・説明長い…
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2007年05月26日 (Sat)
「これは一体どういう事なんですかねぇ…」

ここはマルクトの首都グランコクマの王宮より少し先に行った所にあるコロッセウムと同じ形をしたマルクト軍の演習場である。

「どうもこうも、私達は二人で良いとおっしゃったのはカーティス中佐ですよ?」
「子供相手と高を括ったのが間違いだったんだよ」

一人は宥めるように言いもう一人ははん、と鼻で笑う。一人はミディアムグレーの髪をしており、もう一人は血のような深紅の髪をしていた。二人とも顔を隠すように模様の刻まれた仮面をしている。

「貴方達は導師守護役ではないのですか…?守護役にしては強すぎる」

よいしょとまるで中年のような掛け声をかけて立ち上がるマルクト国軍第三師団師団長、ジェイド・カーティス中佐(29)は目の前の信託の盾の軍服を着た子供二人に問い掛けた。

「守護役ですよ?唯、その前の肩書に『信託の盾騎士団特務師団師団長と副師団長』って付きますけど」
「…成る程貴方達が六神将『鮮血のアッシュ』と『失墜のグレース』ですか…」

二人とも十歳にして一個師団の師団長とその補佐を任されているのだ。唯の導師守護役と侮ってはいけなかったのだろう。唯でさえ強いのに二人揃うと攻撃力が4倍にもなるというはた面倒な人間だ。二人揃って譜術師であるし、グレースの方は回復術が使える。攻撃してもすぐに回復されてしまうので手のうちようがない。

「完敗です」
「よかったですね、殿下。これでカーティス中佐も大人しく昇進してくれますよ」
「殿下の懐刀がいつまでも昇進しないと駄々をこねるようじゃしかたねぇな」
「ジェイド、お前は今から大佐だ、正式な書類は明日な」

どうやらこの二人、ピオニーに頼まれてジェイドを力付くで昇進させようとしていたらしい。結果を見てピオニーは満足そうだし、ピオニーに呼ばれてここにいるイオンもその隣のアリエッタもにこにこしている。どうやら二人が勝つのは当たり前だと言うことらしい。

「というわけで、カーティス《大佐》早速ですけどお仕事です。ピオニー殿下取っ捕まえてお仕事させてください」
「でないとフリングス大佐が可哀相だ」
「結局いつもと変わらないじゃないですか」

ジェイドは溜息を吐くと、隣に客人がいる手前、逃げ出せないでいるピオニーの元まで歩いていくと首根っこを掴んで、執務室に連れていく。まだ話しは終わっていないので、イオン達もその後に続いた。

+++

「あ、殿下ちゃんとお仕事なさって下さいね。でないと可愛いジェイドとネフリーとアスラン、ゲルダ、サフィールがどうなっても知りませんよ?」
「鬼か、お前たち…」
「マルクトのより良い未来の為ですよ」
「仕事嫌がる次期国王ってのは考えもんだな」

グレースとアッシュに畳み込まれ、ピオニーは仕事をしていた。

「で、<バルフォア博士>紛失している書類とかありませんか?」
「何故、貴方達がその名を?」
「有名だ、死霊使いのジェイドは」
「鼻タレサフィールがウチに居るんですよ」
「あぁ、ディスト。アッシュ達の同僚ですもんね」

イオンがニコニコしながら言った。アリエッタもこくこくと頷いている。

「軍規違反起こしてどっか行ったと思ったらそんな所にいたんですか?サフィールは」
「はい。相変わらず鼻タレですよ」
「あんたの話しをすれば逃げるしな」

くすくすと笑う特務師団の二人組にジェイドは延々と言い負かされ続けるサフィールの姿が簡単に思い浮かんだ。自分でさえ言い負かされる相手にサフィールが勝てる訳がない。

「大佐、私達は責めたりしませんからね」
「なんの事です?」
「答えは6年後に」

笑ってそういうグレースにジェイドは困惑した。

「それで書類なんですけど、紛失しているのはホド住民のレプリカ情報ですよね?」
「そうです、サフィールが持ち出していたんですか?」
「あぁ、こっそり取りかえして持ってきた、あと譜業に入っていたデータも消してきた」
「手際がいいですね…」
「仮にも人を纏める立場にある人間だからな」
「慌てるディストを見るのは楽しいんですよ、ですよね?イオン様、アリエッタ」

イオンはえぇと言って笑い、アリエッタは訳の解っていないままこくこくと頷く。ジェイドは頭を押さえたくなった。彼等はまだ10かそこらの少年少女だ。こんなに黒くてはこの先どんな人間に育つか恐ろしく不安である。

「歪んで育たないといいんですが…」
「何か言いました?」
「…いえ、何でもありませんよ」

考えると恐くなってきたので、ジェイドはとりあえずサフィールの冥福(死んでないから)を祈りながら逃げようと隙を伺っているピオニーに黒い笑みで笑いかけた。

Next→キムラスカ・バチカル

ダアト帰路

『次はどうするんだ?』
『ナタリア』

グレースの言葉にアッシュは絶句する。

『何故、ナタリアなんだ?』
『ラルゴの問題もすっきり片付くから』

確かにそうだが、ナタリアに本当の事を言ったら自分は本当の娘ではないと負い目を感じてしまうのではないだろうか。

『んー今ねそれとなく昔話って言って話してはいるんだ。ナタリア感が良いから気付いてるかもしれない』
『あいつは昔から変なとこに鋭いからな…』
『問題は伯父上なんだよなぁ…』

インゴベルトがナタリアが自分の娘でないと知るのはモースとディストが話したからだ。ということは、ナタリア本人から言えば少しは状況が変わるかもしれない。変わらなかったらダアトに亡命させれば良い。

「(アッシュいるし)」

ナタリアの好きなルークは自分でなくアッシュだと言うことは重々承知している。それにナタリアだったら絶対強い。

『恐かったもん…』
『ルーク?』
『ナタリアの秘奥義…』

あぁ、とアッシュも遠い目をしていた。雨の代わりに矢が降ると文字通りの事をやらかす秘奥義だった。

「アッシュ、グレース着きましたよ、大丈夫ですか?船酔い」
「あ、はい。もう大丈夫ですよ」
「導師はよく平気だな」
「船は好きですから」

笑うイオンに二人は嘘をついていて良かったと思った。(二人とも本当は船酔いしてない)絶対はしゃぎ回って海に落ちそうだ。二人は立ち上がると、船の看板でお友達のライガと寝ているアリエッタを迎えに行くイオンの後を着いて行った。

・ほらまだ8歳ですし(怖いな…)
2007年05月25日 (Fri)
「グレース…」
「おや、アリエッタまたいじめられたんですか?」

ここはグレースの私室である。ただ、グレースはこの部屋にいることは少ないので、いるときはチーグルの形をした、コルクボードに在室がかかっている。今はかかっているので在室しているのだろう。

「ううん…違う…です、アリエッタ、聞いちゃった…です」
「はい、大丈夫ですよ、アリエッタ。ヴァンには内緒にしてくださいね?」
「でも、総長に怒られます…です」

アリエッタはヴァンがフェレス島を甦らせてくれると信じているのだ。

「そうですね、確かにヴァンは恐いですね」
「グレース?」
「顔が」

アリエッタは思わず吹き出してしまった。引っ込み思案のアリエッタがこんな表情をすることは珍しい。

「ヴァンは嘘つきですよ。剣の稽古に付き合ってくださいって言っても聞いてくれませんし、なによりバチカルにいる〈ルーク〉に本当の事教えてませんから」
「…グレース、信じても…いいの…?」
「えぇ、必ず貴女の家族を守りますよ。アリエッタ、本当はフェレス島にあんまり思い入れないのでしょう?」

アリエッタはうんと頷いた。実際、アリエッタはあの島にたいした執着はない。フェレス島よりもイオンや家族が大事なのだ。大好きな人達だから。

「守りますから、アリエッタ」
「…やっぱりグレース…ママ…みたい、…です」
「そうですか、イオン様も私がいいお嫁さんになれるとか言ってましたし、ママでも良いかもしれませんね」

グレースが笑うとアリエッタも安心したのか、にっこりと花のように笑った。

「じゃあ、イオン様の所行きましょうか?」
「はい、です」

アリエッタはぎゅっとグレースの腕にしがみつくと、アリエッタの歩調に合わせて歩くグレースの隣を歩いていった。

後日、イオンが冗談でアッシュの事を亭主関白みたいですねと言ったせいでアリエッタの中での位置付けがお父さんになっている事を本人は知らない。

・ラルゴの位置付けがおじいちゃんになりました…
2007年05月21日 (Mon)
「…これがアリエッタのお母様…ですか…」

イオンは少々引き攣った笑みを浮かべた。それはそうだろう。目の前に居るのは己の身の丈のゆうに3倍はあろうかという《ライガクイーン》。アッシュも驚いていて声が出ないようだ。

「はじめまして、ライガクイーン…信託の盾騎士団特務師団、副師団長謙導師守護役のグレースです」

そんな中、グレースはライガクイーンもといライガママにのほほんと挨拶している。

「ママもグレースによろしくって」

久しぶりに母に会えたのが嬉しいのか、アリエッタははしゃいでいた。そんなアリエッタを見てアッシュとイオンも硬直が溶けたのか、ライガママに挨拶をした。

「じゃあ、お昼にしましょうか?」
「そうだな…導師、暫くアリエッタとここにいろ、直ぐ戻る。グレース」
「はい、ではアリエッタ、このシートを敷いて待っていてくださいね」
「アリエッタ、頑張る!…です」

アリエッタはグレースに微笑みかけると更に森の深い所に入って行く二人を見守った。二人が森の奥に入って行った理由は解っていたから。しばらくして二人はズルズルと何かを引きずって来た。何だか呻き声がする。

「新鮮な方がいいでしょうから生け捕りにしてきました」

二人が引きずってきたのは猪のようなモンスターだった。かなりの大物だ。

「じゃあお昼にしましょう。アリエッタ、シートありがとうございます」

グレースがアリエッタに微笑みかけると、アリエッタは「グレースもママみたい…」と言って抱き着いてきた。その場には微妙な空気が流れた。

……………………

「…どうしたの…ママ?」

ライガクイーンがアッシュとグレースの匂いを嗅いで首を傾げていた。理由をアリエッタが話す。

「アッシュとグレース、同じ匂いがするって…変だって」
「「…………」」

その言葉にグレースは固まり、アッシュは手に持っていた紙コップを握り潰してしまった。ちょうど飲み終わったところだったので、汚れはしなかったが。

『どうする?』
『今の段階だとまだ導師はヴァン側だが…』
『動物って凄いよな』
『あぁ』

二人が回線で遠い目をしながら話していると、アリエッタがお友達の様子を見に行ってくると言っていってしまった。

「グレース…あなたは自分がレプリカだと言いましたね」
「はい」
「あなたは…」
「導師、悪いが踏み込み過ぎだ。あんたがヴァン側にいるかぎり言えない」
「…預言の無い世界に反対なんですか?」
「違う。レプリカ世界に反対なんだ」

問うイオンにアッシュが首を振り答えた。

「導師が預言を嫌っているのは知っている」
「そして、私たちは預言のない世界を知っています。イオン様は自らの死を秘預言で知り預言に縛られた世界を壊したいのですか?」
「そうです。僕は預言の為に死ぬ…そう預言に書いてありました。だから僕は預言に制約を受けないレプリカ世界を作りたいのです」
「…レプリカイオンは俺に預言を詠んで乖離した。俺の目の前で…、もう一人のレプリカイオンは生まれたことを呪いながら死んでいった」
「何を…」

イオンは戸惑った。グレースの言っていることに、その声が変わったことに、仮面を外したその顔が…

「アッシュ…と同じ顔…」
「俺はレプリカルーク…愚かなレプリカ。…アッシュの…ルーク・フォン・ファブレのレプリカだ」
「ルーク、お前まだそんな事を」
「いいんだ、俺がレプリカなのは変わらないし、イオンは解ってくれると思うんだ。だって、俺達が戻ってきたのはより多くの人間を救う為だろ?」

ルークは苦笑しながらそう言った。その目はどこか悲しげで、逝った人々に思いを馳せている…そんな感じだった。

「…今、戻ってきたと言いましたね?」
「……あぁ、俺とこいつは別の未来で死んだ。ローレライに心遺りはないかと問われてな」
「だから救えなかった人達を救いたくて戻ってきたんだ」

目の前にいる自分もその対象に入っていることにイオンは驚いた。自分は直接〈ルーク〉と関わったことはないはずなのに。

「それに秘預言の通りになるの釈だし…だって死を詠んではいけない預言に俺達は死ぬとはっきり書かれていた、これってなんかおかしいだろ?」
「つまりあなたたちはレプリカ世界には反対だが、預言のない世界には反対ではないのですね」

二人は頷いて言う。

「レプリカ世界は沢山の人を犠牲にする」
「死ななくてもいい人達が…目の前で死んでいくのを見ているなんて、もうたくさんなんだ」
「アッシュもグレースも優しいんですね」
「優しいのはイオンだよ」
「導師、あんたがヴァンにこの事を言うつもりなら俺達は力付くでヴァンを止める。ローレライも開放する例え命を賭けても」
「幸せになって欲しいんだ」

そう笑うルークの笑顔はやっぱりどこか悲しげで、アッシュも悲しげな目をしていた。

「もう誰も死ぬところなんて見たくない」
「これは誰かの為じゃない、自分の為なんだ」
「勝てませんね、貴方達には」
「イオン?」
「言いませんよ、ヴァンには。確かにレプリカ世界は少々極端ではあると思っていましたし、レプリカ情報を抜くと死んでしまう人間もいると言います。アリエッタを死なせる訳にはいきませんからね」

イオンの世界は何処までもイオンとアリエッタを中心に回っているらしい。アッシュとルークが苦笑するとイオンは笑いながら言った。

「そのかわり、仲間ハズレは嫌ですからね」

その言葉にびっくりしたのか二人は顔を見合わせ、今度は笑って頷いた。

Next→マルクト・グランコクマ

「…成る程、僕のレプリカはそんな性格なんですか」
「はぃ…」

ルークは自室でイオンにレプリカイオンの事を説明していた。自室は自室でもバチカルのファブレ邸の自室である。同行者はアッシュとカンタビレ、ヴァンであったが、ヴァンは笑顔でイオンに締め出しをくらい、ここにはイオンとアッシュとカンタビレしかいなかった。因みにアッシュはヴァンの配慮でグレースと同じ仮面を付けていたが、今は外している。

「おしいですね、出来ればレプリカイオンにも生きていてほしい」
「そこは俺がどうにかしますよ導師」
「カンタビレは本当になんでもできますね」
「イオン様これローレライなんですよ」
「こらルーク、仮にもお父様にこれってなんですか」
「(いくらルークが第七音素で出来ているとはいえ、それは違うだろ…/汗)」

アッシュは心の中で思わず突っ込んだ。ルークはイオン相手にはどうしても〈グレース〉の口調になってしまうらしい。

「カンタビレがローレライなんですか?」
「うん、まぁね」
「ヴァンも哀れですね…自分の部下が消滅させたいローレライだなんて」
「アハハそうだねー」

絶対二人ともそう思っていないことはひを見るより明らかだったが、赤毛二人に突っ込む勇気はなかった。
2007年05月09日 (Wed)
はーい。毎度お騒がせ(?)してマース。
久々に夢にネタ神降りてきましたんで連載の途中ですが横槍。寝起きなのでテンション変デス。

今回はDMC(ダン)バジダンで(?)←(ダン)はダンバジ『未遂』と言うことです…
つか某サイト様の影響受けまくりなのとスパナチュの小説読んだせいだと思う…
ウィンチェスター兄弟がダンテとバージルになってたの…
唯、スパナチュっぽいんだけどなんかおかしいんだよね。

鬼兄ぃちゃんくさかったもん。何て言うか腹黒鬼畜な受け気味兄。苦手な人は飛ばして下さいな!

………………………………………………………………………………………

「なんでバージル断んなかったのさ、俺がしようとすると嫌がる癖に」
「断る理由がなかったし、一晩だけだと条件は付けた」

二人は郊外に広がる薄暗い森の前で、愛車、シボレー・インパラのボンネットに腰掛けて回りに止まるパトカーのランプをぼんやり見ている。正確に言うとそのパトカーの持ち主で現場の指揮をとっている男をだ。その男は痩せ型で、グレーのトレンチコートを羽織り、眼鏡をかけている。

「32歳・既婚者・子持ち…なんでバージルのこと誘ったんだか」
「お前も随分ひきずるな」
「だって、なんかヤダなんだもん」
「(もんって…/汗)…奥さんと上手くいってないそうだ」

ふーんとダンテは気のない返事をして、またじっとその男を見つめた。

「気持ち良かった?」
「まぁ、下手ではなかったな」
「うー…やっぱ悔しい…」

「俺だってバージルの事気持ち良くさせたいのに!!」とダンテが言うと、バージルは「十分させてもらってる」と言ってダンテの顔を真っ赤にさせてしまった。パクパクと池の鯉みたいに口を動かすダンテにバージルは付け足す。

「それに終わった後言ってやった。奥さんと上手くいってなくてもアンタの息子達はまだ幼いんだ、その子の為にアンタは良いパパで居てやれとな」
「…なんかバージル恰好よすぎ…」
「惚れ直したか?」
「…キザ」

バージルはダンテに啄むようなキスをするとまた回りのパトカーを見回す。するとたまたまこちらを見てしまったのだろう。例の男が顔を真っ赤にして警官に指示を出していた。

「罪作りだねぇ…バージル?」
「知った事か。この話は終わりだ、もう用もないし行くか」

去ろうとする二人を誰かが呼び止めた。例の男だった。男はバージルに向かって何か言おうとしていたが、バージルは唯笑って、男の耳元で色気を含んだ甘い声で何かしら囁いて、車の助手席に滑り込んだ。そのまま車は発進して暫く行った所にある閑散とした何もないあたりでダンテが吹き出す。

「バージル、アンタやっぱり相当のサドだよ!可哀相にアイツアンタの色気にヤられて勃ってたぜ」
「未練がましそうにしていたからやったまでだ。俺はお前以外いらん」
「わぁお、殺し文句~♪」

ケタケタ笑いながら運転するダンテにバージルも笑いながら、次の場所を目指した。

…………………………………………………………………………………

って感じのとこでたたき起こされました。母がコンビニの早出の日で、油使ってたので火つけっぱだからヨロシクって…
ほぼ終盤には差し掛かっていたものの二人の雰囲気が妖しかったのでこのままモーテルにでもなだれ込むかもしれない…
18禁ですか…?

つか、設定がスパナチュっぽいことに意味はあったのだろうか…?
そして朝から濃いな…、なんちゅー夢見てんねん俺(爆笑)
2007年05月04日 (Fri)
アッシュは信託の盾に所属すると同時にローレライ教団にも所属している。必然的にアッシュの補佐官をしているグレース(ルーク)もそうだ。彼等には特務師団の仕事以外にもう一つ仕事があった。それは《導師守護役》である。年が近いという理由から選ばれたそれは、どうやらカンタビレが手を回したようだった。

「導師、何時もこんなことしてんのか?」
「えぇ、アリエッタを虐める輩は例え蟲一匹でも容赦しません」

アリエッタは絶対に蟲は平気だし、寧ろ食べ物の一種だと思っていそうだが、その辺りは本人に聞かなければ解らないだろう。

「アリエッタ可愛いですからね、ちょっかい出したがる人間が多くて大変ですね、イオン様」

今彼等がいるのはローレライ教団の建物裏である。目の前には軽く半屍の山が築かれていた。やったのは殆どイオンだ。アッシュとグレースはたまたま居合わせたのだ。このある意味恐ろしい光景に。

「証拠隠滅にハートレスサークルかけときましょうか?」
「お願いします、グレース」
「アッシュ、サンダーブレイドお願いします」

どうやらFOF変化で一気に片付ける気らしい。まぁ、確かにそのほうが、効率は良い。その後凄い音がして信託の盾兵が見に行くとえぐれた地面と、服だけぼろぼろな信託の盾兵が山積みにされているだけだった。

「導師、一体何処が悪いんだ?」
「わかりません。ただ、モースの用意する食事をたべるとどうしても吐き気が」

全然ぴんぴんしているイオンにアッシュが聞くとそんな答えが返って来た。

「明らかに毒盛られてますよ、それ。よかったら私が作りますよ?」
「本当ですか?」
「お前飯作れたか?」
「バチカルで修行してきましたから」
「楽しみにしていますね」

試しに昼食をグレースが作る事になり、それならアリエッタも連れてエンゲーブの北にあるアリエッタの母が居る森でピクニックでもしようということになった。

「僕、アリエッタのお母様に会うのはじめてですよ」
「私達もですよ、居る場所を知っているだけなんです」

グレースが自室のキッチンの中でオニオンスープを作っている。鍋でジャガ芋を蒸してマッシュポテトを作ったり、フルーツサンドやチキンサンドも用意されていた。

「良い匂いですね、これは?」
「人参のグラッセですよ。私、人参苦手だったんですけどこれのおかげで克服できたので、アッシュの人参の嫌いも直してしまおうかと」

今ここにアッシュが居ないのをいいことにグレースはそんなことを言っている。アッシュはアリエッタを迎えに行ったのだ。アリエッタは部屋で音素学の勉強をしている時間だった。

「イオン様、スープ味見してもらえますか?」
「いいですよ…………美味しい…、グレースは何時でもアッシュのお嫁さんになれますね」
「男同士じゃ結婚出来ませんよ」

グレースは苦笑しながらバスケットにそれを詰めた。スープは保温性の高い容器に移し、蓋をしっかりと締める。全部詰め終わった頃、アッシュがアリエッタを連れて戻って来た。

「イオン様……アリエッタも一緒にお出かけ…いいの……?」
「いいですよアリエッタ、今日はエンゲーブの近くの森までピクニックなんです。案内してくれますか」
「はい!…です」

ダアトからエンゲーブ近くの森までは結構距離があるが、アリエッタの魔物に運んでもらえば早く着く。念のため、外泊の許可をヴァンに(嫌々ながら)貰いに行き、スコア嫌いなヴァンにイオンの食事にモースが毒を盛っていた事を教えると四人は早々にダアトをあとにした。

Next→北の森

〈料理制作中〉

「イオン様はレプリカ計画に賛成なんですね」
「えぇ、グレースは違うんですか?」
「……私も実はレプリカなんです。でもヴァンの計画には賛成しきれない。被験者を殺してまで、私は存在していたくはないのです」
「グレースの被験者は生きているんですね」
「はい、それが私にとっての救いです。でも私は彼から日だまりを奪ってしまうことになりました」

グレースは天を見上げ、溜息を吐いた。表情は仮面に隠れて解らない。

「グレースの被験者は今どこに?」
「さぁ?でも案外近くに居るかも知れませんよ」

そう笑うグレースの笑顔が追及を許さなかったから、イオンは尋ねるのをやめ、いつか彼から教えてもらう事が出来るまで待つことにした。それはそう遠くない未来。
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