気まぐれにNL・BLetc.健全から危ないモノまで。
今のとこメインはDMCとTOA。
「これは一体どういう事なんですかねぇ…」
ここはマルクトの首都グランコクマの王宮より少し先に行った所にあるコロッセウムと同じ形をしたマルクト軍の演習場である。
「どうもこうも、私達は二人で良いとおっしゃったのはカーティス中佐ですよ?」
「子供相手と高を括ったのが間違いだったんだよ」
一人は宥めるように言いもう一人ははん、と鼻で笑う。一人はミディアムグレーの髪をしており、もう一人は血のような深紅の髪をしていた。二人とも顔を隠すように模様の刻まれた仮面をしている。
「貴方達は導師守護役ではないのですか…?守護役にしては強すぎる」
よいしょとまるで中年のような掛け声をかけて立ち上がるマルクト国軍第三師団師団長、ジェイド・カーティス中佐(29)は目の前の信託の盾の軍服を着た子供二人に問い掛けた。
「守護役ですよ?唯、その前の肩書に『信託の盾騎士団特務師団師団長と副師団長』って付きますけど」
「…成る程貴方達が六神将『鮮血のアッシュ』と『失墜のグレース』ですか…」
二人とも十歳にして一個師団の師団長とその補佐を任されているのだ。唯の導師守護役と侮ってはいけなかったのだろう。唯でさえ強いのに二人揃うと攻撃力が4倍にもなるというはた面倒な人間だ。二人揃って譜術師であるし、グレースの方は回復術が使える。攻撃してもすぐに回復されてしまうので手のうちようがない。
「完敗です」
「よかったですね、殿下。これでカーティス中佐も大人しく昇進してくれますよ」
「殿下の懐刀がいつまでも昇進しないと駄々をこねるようじゃしかたねぇな」
「ジェイド、お前は今から大佐だ、正式な書類は明日な」
どうやらこの二人、ピオニーに頼まれてジェイドを力付くで昇進させようとしていたらしい。結果を見てピオニーは満足そうだし、ピオニーに呼ばれてここにいるイオンもその隣のアリエッタもにこにこしている。どうやら二人が勝つのは当たり前だと言うことらしい。
「というわけで、カーティス《大佐》早速ですけどお仕事です。ピオニー殿下取っ捕まえてお仕事させてください」
「でないとフリングス大佐が可哀相だ」
「結局いつもと変わらないじゃないですか」
ジェイドは溜息を吐くと、隣に客人がいる手前、逃げ出せないでいるピオニーの元まで歩いていくと首根っこを掴んで、執務室に連れていく。まだ話しは終わっていないので、イオン達もその後に続いた。
+++
「あ、殿下ちゃんとお仕事なさって下さいね。でないと可愛いジェイドとネフリーとアスラン、ゲルダ、サフィールがどうなっても知りませんよ?」
「鬼か、お前たち…」
「マルクトのより良い未来の為ですよ」
「仕事嫌がる次期国王ってのは考えもんだな」
グレースとアッシュに畳み込まれ、ピオニーは仕事をしていた。
「で、<バルフォア博士>紛失している書類とかありませんか?」
「何故、貴方達がその名を?」
「有名だ、死霊使いのジェイドは」
「鼻タレサフィールがウチに居るんですよ」
「あぁ、ディスト。アッシュ達の同僚ですもんね」
イオンがニコニコしながら言った。アリエッタもこくこくと頷いている。
「軍規違反起こしてどっか行ったと思ったらそんな所にいたんですか?サフィールは」
「はい。相変わらず鼻タレですよ」
「あんたの話しをすれば逃げるしな」
くすくすと笑う特務師団の二人組にジェイドは延々と言い負かされ続けるサフィールの姿が簡単に思い浮かんだ。自分でさえ言い負かされる相手にサフィールが勝てる訳がない。
「大佐、私達は責めたりしませんからね」
「なんの事です?」
「答えは6年後に」
笑ってそういうグレースにジェイドは困惑した。
「それで書類なんですけど、紛失しているのはホド住民のレプリカ情報ですよね?」
「そうです、サフィールが持ち出していたんですか?」
「あぁ、こっそり取りかえして持ってきた、あと譜業に入っていたデータも消してきた」
「手際がいいですね…」
「仮にも人を纏める立場にある人間だからな」
「慌てるディストを見るのは楽しいんですよ、ですよね?イオン様、アリエッタ」
イオンはえぇと言って笑い、アリエッタは訳の解っていないままこくこくと頷く。ジェイドは頭を押さえたくなった。彼等はまだ10かそこらの少年少女だ。こんなに黒くてはこの先どんな人間に育つか恐ろしく不安である。
「歪んで育たないといいんですが…」
「何か言いました?」
「…いえ、何でもありませんよ」
考えると恐くなってきたので、ジェイドはとりあえずサフィールの冥福(死んでないから)を祈りながら逃げようと隙を伺っているピオニーに黒い笑みで笑いかけた。
Next→キムラスカ・バチカル
ダアト帰路
『次はどうするんだ?』
『ナタリア』
グレースの言葉にアッシュは絶句する。
『何故、ナタリアなんだ?』
『ラルゴの問題もすっきり片付くから』
確かにそうだが、ナタリアに本当の事を言ったら自分は本当の娘ではないと負い目を感じてしまうのではないだろうか。
『んー今ねそれとなく昔話って言って話してはいるんだ。ナタリア感が良いから気付いてるかもしれない』
『あいつは昔から変なとこに鋭いからな…』
『問題は伯父上なんだよなぁ…』
インゴベルトがナタリアが自分の娘でないと知るのはモースとディストが話したからだ。ということは、ナタリア本人から言えば少しは状況が変わるかもしれない。変わらなかったらダアトに亡命させれば良い。
「(アッシュいるし)」
ナタリアの好きなルークは自分でなくアッシュだと言うことは重々承知している。それにナタリアだったら絶対強い。
『恐かったもん…』
『ルーク?』
『ナタリアの秘奥義…』
あぁ、とアッシュも遠い目をしていた。雨の代わりに矢が降ると文字通りの事をやらかす秘奥義だった。
「アッシュ、グレース着きましたよ、大丈夫ですか?船酔い」
「あ、はい。もう大丈夫ですよ」
「導師はよく平気だな」
「船は好きですから」
笑うイオンに二人は嘘をついていて良かったと思った。(二人とも本当は船酔いしてない)絶対はしゃぎ回って海に落ちそうだ。二人は立ち上がると、船の看板でお友達のライガと寝ているアリエッタを迎えに行くイオンの後を着いて行った。
・ほらまだ8歳ですし(怖いな…)
ここはマルクトの首都グランコクマの王宮より少し先に行った所にあるコロッセウムと同じ形をしたマルクト軍の演習場である。
「どうもこうも、私達は二人で良いとおっしゃったのはカーティス中佐ですよ?」
「子供相手と高を括ったのが間違いだったんだよ」
一人は宥めるように言いもう一人ははん、と鼻で笑う。一人はミディアムグレーの髪をしており、もう一人は血のような深紅の髪をしていた。二人とも顔を隠すように模様の刻まれた仮面をしている。
「貴方達は導師守護役ではないのですか…?守護役にしては強すぎる」
よいしょとまるで中年のような掛け声をかけて立ち上がるマルクト国軍第三師団師団長、ジェイド・カーティス中佐(29)は目の前の信託の盾の軍服を着た子供二人に問い掛けた。
「守護役ですよ?唯、その前の肩書に『信託の盾騎士団特務師団師団長と副師団長』って付きますけど」
「…成る程貴方達が六神将『鮮血のアッシュ』と『失墜のグレース』ですか…」
二人とも十歳にして一個師団の師団長とその補佐を任されているのだ。唯の導師守護役と侮ってはいけなかったのだろう。唯でさえ強いのに二人揃うと攻撃力が4倍にもなるというはた面倒な人間だ。二人揃って譜術師であるし、グレースの方は回復術が使える。攻撃してもすぐに回復されてしまうので手のうちようがない。
「完敗です」
「よかったですね、殿下。これでカーティス中佐も大人しく昇進してくれますよ」
「殿下の懐刀がいつまでも昇進しないと駄々をこねるようじゃしかたねぇな」
「ジェイド、お前は今から大佐だ、正式な書類は明日な」
どうやらこの二人、ピオニーに頼まれてジェイドを力付くで昇進させようとしていたらしい。結果を見てピオニーは満足そうだし、ピオニーに呼ばれてここにいるイオンもその隣のアリエッタもにこにこしている。どうやら二人が勝つのは当たり前だと言うことらしい。
「というわけで、カーティス《大佐》早速ですけどお仕事です。ピオニー殿下取っ捕まえてお仕事させてください」
「でないとフリングス大佐が可哀相だ」
「結局いつもと変わらないじゃないですか」
ジェイドは溜息を吐くと、隣に客人がいる手前、逃げ出せないでいるピオニーの元まで歩いていくと首根っこを掴んで、執務室に連れていく。まだ話しは終わっていないので、イオン達もその後に続いた。
+++
「あ、殿下ちゃんとお仕事なさって下さいね。でないと可愛いジェイドとネフリーとアスラン、ゲルダ、サフィールがどうなっても知りませんよ?」
「鬼か、お前たち…」
「マルクトのより良い未来の為ですよ」
「仕事嫌がる次期国王ってのは考えもんだな」
グレースとアッシュに畳み込まれ、ピオニーは仕事をしていた。
「で、<バルフォア博士>紛失している書類とかありませんか?」
「何故、貴方達がその名を?」
「有名だ、死霊使いのジェイドは」
「鼻タレサフィールがウチに居るんですよ」
「あぁ、ディスト。アッシュ達の同僚ですもんね」
イオンがニコニコしながら言った。アリエッタもこくこくと頷いている。
「軍規違反起こしてどっか行ったと思ったらそんな所にいたんですか?サフィールは」
「はい。相変わらず鼻タレですよ」
「あんたの話しをすれば逃げるしな」
くすくすと笑う特務師団の二人組にジェイドは延々と言い負かされ続けるサフィールの姿が簡単に思い浮かんだ。自分でさえ言い負かされる相手にサフィールが勝てる訳がない。
「大佐、私達は責めたりしませんからね」
「なんの事です?」
「答えは6年後に」
笑ってそういうグレースにジェイドは困惑した。
「それで書類なんですけど、紛失しているのはホド住民のレプリカ情報ですよね?」
「そうです、サフィールが持ち出していたんですか?」
「あぁ、こっそり取りかえして持ってきた、あと譜業に入っていたデータも消してきた」
「手際がいいですね…」
「仮にも人を纏める立場にある人間だからな」
「慌てるディストを見るのは楽しいんですよ、ですよね?イオン様、アリエッタ」
イオンはえぇと言って笑い、アリエッタは訳の解っていないままこくこくと頷く。ジェイドは頭を押さえたくなった。彼等はまだ10かそこらの少年少女だ。こんなに黒くてはこの先どんな人間に育つか恐ろしく不安である。
「歪んで育たないといいんですが…」
「何か言いました?」
「…いえ、何でもありませんよ」
考えると恐くなってきたので、ジェイドはとりあえずサフィールの冥福(死んでないから)を祈りながら逃げようと隙を伺っているピオニーに黒い笑みで笑いかけた。
Next→キムラスカ・バチカル
ダアト帰路
『次はどうするんだ?』
『ナタリア』
グレースの言葉にアッシュは絶句する。
『何故、ナタリアなんだ?』
『ラルゴの問題もすっきり片付くから』
確かにそうだが、ナタリアに本当の事を言ったら自分は本当の娘ではないと負い目を感じてしまうのではないだろうか。
『んー今ねそれとなく昔話って言って話してはいるんだ。ナタリア感が良いから気付いてるかもしれない』
『あいつは昔から変なとこに鋭いからな…』
『問題は伯父上なんだよなぁ…』
インゴベルトがナタリアが自分の娘でないと知るのはモースとディストが話したからだ。ということは、ナタリア本人から言えば少しは状況が変わるかもしれない。変わらなかったらダアトに亡命させれば良い。
「(アッシュいるし)」
ナタリアの好きなルークは自分でなくアッシュだと言うことは重々承知している。それにナタリアだったら絶対強い。
『恐かったもん…』
『ルーク?』
『ナタリアの秘奥義…』
あぁ、とアッシュも遠い目をしていた。雨の代わりに矢が降ると文字通りの事をやらかす秘奥義だった。
「アッシュ、グレース着きましたよ、大丈夫ですか?船酔い」
「あ、はい。もう大丈夫ですよ」
「導師はよく平気だな」
「船は好きですから」
笑うイオンに二人は嘘をついていて良かったと思った。(二人とも本当は船酔いしてない)絶対はしゃぎ回って海に落ちそうだ。二人は立ち上がると、船の看板でお友達のライガと寝ているアリエッタを迎えに行くイオンの後を着いて行った。
・ほらまだ8歳ですし(怖いな…)
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