気まぐれにNL・BLetc.健全から危ないモノまで。
今のとこメインはDMCとTOA。
インゴベルトの私室でインゴベルトとナタリアは向かい合って座っていた。ナタリアの乳母はナタリアから二歩下がった所で待機している。今はちょうど3時で休憩をとっていた所にナタリアが来たのだ。
「お父様、私お父様にどうしても話しておかなければならない事がありますの」
「なんだ、言ってみなさい」
「私、本当はお父様と血が繋がっていないそうなんですの」
「ナタリア様!?」
乳母はナタリアの突然の告白に驚いて思わず声を上げてしまった。この事をナタリアが知っている訳がないのだ。知っているのはバダックと己しかいないはずなのだから。
「私は本来ならこんな所で暮らせるような身分ではないのです」
「どういう事だね、場合によっては死罪も」
「承知のうえですわ…私は生まれて間もなくナタリアとして母上の手に渡りました…ナタリアは死産でしたので…」
「それで…」
「私はメリルと名付けられる予定でした…そう言われたのです…」
「誰が!?誰がナタリア様にそのような事を吹き込んだのです!?」
ナタリアの乳母はナタリアの肩を掴んで問うた。その必死の状況にインゴベルトは困惑する。
「ルークが…ルークが昔話をしてくださいましたの。昔とある国にとても愛された姫がいて、でもその姫は本当は父王と血は繋がっていないということを王に取り入った神官が話してしまったのです。王は怒り姫は一度は死刑にされそうになりましたわ…でも姫は民から愛されていた。民は王軍に立ち向かい姫は逃がされました。そして姫は出会った仲間と共に世界を救う旅にでるのです。姫は旅の途中、本当の父に会いました。でもその男は世界の敵のうちの一人だったのです…男は預言を怨んでいました。預言によって娘を奪われ娘を奪われたことによって男の妻は悲しみに暮れたまま狂い死んでしまったのです。娘は預言の通りに死産だった本物の姫の代用とされてしまった、と。男は預言に縛られた世界を壊そうとしている悪に荷担してしまいました。姫は世界を救うため、実の父を討ちました。その後世界は犠牲を伴いながらでありましたが救われましたわ…姫は父王に例え実の娘ではなくとも18年間共に過ごした時間は偽物ではない。血が繋がっていなくとも己の娘だと…そう言ってくださったそうです」
「ルーク様がそのような事を…」
「ルークはその話の最後を聞かせて下さった後、夜港に来て欲しいと言いましたわ。私はルークに言われた通りに港へ向かおうとしました…でも一人で港に行くなんて怖くて…そこにグレーの髪をした信託の盾の兵士が来て下さいましたの。どうしてもルークが抜け出せないから私の護衛をして欲しいと頼まれたそうですわ」
ナタリアはそういって少し息をついた。インゴベルトは黙ってナタリアの話しを聞いている。
「港には他に二人の信託の盾の兵士がいらっしゃいましたわ。一人は私と同じくらいの歳の少年で、もう一人はラルゴという方でした」
「ラルゴ…六神将黒獅子ラルゴか?ならば一緒にいたのは?」
「アッシュと呼ばれておりましたわ。グレーの髪の信託の盾兵はグレースと」
「鮮血のアッシュと失墜のグレース…六神将が三人も…何故バチカルに…」
インゴベルトは首を傾げた。彼等はヴァン直属の部下だ。ヴァンは今ファブレ邸でルークの剣の稽古を付けているはずである。問えば答えるだろうか?
「アッシュという方はグレースと待ち合わせをしていたそうです。ラルゴは…私の本当の父で、本名はバダックと言うそうです」
「バダック…ナタリア様、ラルゴは本当にそう名乗ったのですか?」
「えぇ…お父様、私はお父様の娘でいてもいいのでしょうか…?」
ナタリアは心配そうにインゴベルトに聞いた。インゴベルトはうーんと唸る。ルークの話した昔話は昔話にしては引っ掛かる。所々ユリアの秘預言ににているのだ。ルークはユリアの秘預言は知らないはずなのだから。ただ、戻ってきたルークは昔以上に聡かった。まるで自分がこれからどうなるのか知っているかのように。
「ルークは未来を知っているのかもしれぬな」
「お父様?」
「ナタリア、よく話してくれた。ルークの言う通りだな…血が繋がっていないと解ってもお前の事を愛おしいと感じる…お前は間違いなく私の娘だ」
ナタリアは熱くなる目頭を押さえてインゴベルトに抱き着いた。
「私、本当に幸せものですわ。だって私には素敵なお父様が二人もいるんですもの」
「ナタリア…」
その時コンコンと窓が叩かれた。そこにいたのはグレースだった。緩く編まれた三つ編みが風に靡いている。
「ナタリア様、お決まりになりましたか?」
グレースは口元だけでにこやかに笑っている。仮面に隠れて表情はあまり解らないのだが。
「グレース…」
「今日でバチカルでの調べ物が終わってしまったのでご報告をと思いまして…ラルゴと私はダアトへ帰らなければならないので」
グレースは最後にもう一度会わないかと聞いているのだ。おそらくナタリアとインゴベルトの会話は聞いていたのだろう。なんだかとても嬉しそうだった。
「お父様…」
「会ってきなさい、ナタリア。出来れば今度は城に尋ねて来るようにとも」
「?」
「私も話がしてみたいのだよ」
インゴベルトは笑ってナタリアの髪を撫でた。ナタリアはインゴベルトに満面の笑みを浮かべると、グレースの手をとってインゴベルトの私室を後にした。
後日、インゴベルトに呼ばれ城を訪れたラルゴはインゴベルトとしっかり話し、幸せそうなナタリアを優しく見守ると言うことで一致した。未来は少しずつ変わっているようだ。
Next→ダアト
〈ファブレ邸調理場〉
「ルーク、何故抜けてこられなかったのです?港に来いと言ったのは貴方でしょう」
「だから、警備が何故か厳しかったんだっつーの!なんか最近不審者がこの辺うろついてるって」
喋りながらルークの手は生クリームを泡立てるのを止めない。甘いはずのクリームにルークはあまり砂糖を入れていなかった。しかもクリームは低脂肪。変な気遣いだ。
「グレースの方が余程紳士的でしたわ。女性なのに凛々しくて」
「グレースは男だぜ?」
ナタリアは苺を潰す手を止めた。これは生地に入れるものだ。
「殿方…でしたの…?では何故スカートを……」
「…ヴァン師匠の趣味。とりあえず俺は餌食になりたくない。ついでに六神将の軍服、ヴァン師匠の手縫い」
おそらくラルゴはこの事を知らない。きっと知ってしまえば拒否して六神将をやめてナタリアの近衛兵かなんかになってしまう気がする。ナタリアの顔は引き攣っていた。
「あ、ナタリア、俺がグレースと仲いいのヴァン師匠には内緒な?」
「何故ですの?」
「よくいうだろ?死人に口無しって」
ルークはそう言って笑った。
・説明マジなが過ぎ!テンポ少し悪いわ…
「お父様、私お父様にどうしても話しておかなければならない事がありますの」
「なんだ、言ってみなさい」
「私、本当はお父様と血が繋がっていないそうなんですの」
「ナタリア様!?」
乳母はナタリアの突然の告白に驚いて思わず声を上げてしまった。この事をナタリアが知っている訳がないのだ。知っているのはバダックと己しかいないはずなのだから。
「私は本来ならこんな所で暮らせるような身分ではないのです」
「どういう事だね、場合によっては死罪も」
「承知のうえですわ…私は生まれて間もなくナタリアとして母上の手に渡りました…ナタリアは死産でしたので…」
「それで…」
「私はメリルと名付けられる予定でした…そう言われたのです…」
「誰が!?誰がナタリア様にそのような事を吹き込んだのです!?」
ナタリアの乳母はナタリアの肩を掴んで問うた。その必死の状況にインゴベルトは困惑する。
「ルークが…ルークが昔話をしてくださいましたの。昔とある国にとても愛された姫がいて、でもその姫は本当は父王と血は繋がっていないということを王に取り入った神官が話してしまったのです。王は怒り姫は一度は死刑にされそうになりましたわ…でも姫は民から愛されていた。民は王軍に立ち向かい姫は逃がされました。そして姫は出会った仲間と共に世界を救う旅にでるのです。姫は旅の途中、本当の父に会いました。でもその男は世界の敵のうちの一人だったのです…男は預言を怨んでいました。預言によって娘を奪われ娘を奪われたことによって男の妻は悲しみに暮れたまま狂い死んでしまったのです。娘は預言の通りに死産だった本物の姫の代用とされてしまった、と。男は預言に縛られた世界を壊そうとしている悪に荷担してしまいました。姫は世界を救うため、実の父を討ちました。その後世界は犠牲を伴いながらでありましたが救われましたわ…姫は父王に例え実の娘ではなくとも18年間共に過ごした時間は偽物ではない。血が繋がっていなくとも己の娘だと…そう言ってくださったそうです」
「ルーク様がそのような事を…」
「ルークはその話の最後を聞かせて下さった後、夜港に来て欲しいと言いましたわ。私はルークに言われた通りに港へ向かおうとしました…でも一人で港に行くなんて怖くて…そこにグレーの髪をした信託の盾の兵士が来て下さいましたの。どうしてもルークが抜け出せないから私の護衛をして欲しいと頼まれたそうですわ」
ナタリアはそういって少し息をついた。インゴベルトは黙ってナタリアの話しを聞いている。
「港には他に二人の信託の盾の兵士がいらっしゃいましたわ。一人は私と同じくらいの歳の少年で、もう一人はラルゴという方でした」
「ラルゴ…六神将黒獅子ラルゴか?ならば一緒にいたのは?」
「アッシュと呼ばれておりましたわ。グレーの髪の信託の盾兵はグレースと」
「鮮血のアッシュと失墜のグレース…六神将が三人も…何故バチカルに…」
インゴベルトは首を傾げた。彼等はヴァン直属の部下だ。ヴァンは今ファブレ邸でルークの剣の稽古を付けているはずである。問えば答えるだろうか?
「アッシュという方はグレースと待ち合わせをしていたそうです。ラルゴは…私の本当の父で、本名はバダックと言うそうです」
「バダック…ナタリア様、ラルゴは本当にそう名乗ったのですか?」
「えぇ…お父様、私はお父様の娘でいてもいいのでしょうか…?」
ナタリアは心配そうにインゴベルトに聞いた。インゴベルトはうーんと唸る。ルークの話した昔話は昔話にしては引っ掛かる。所々ユリアの秘預言ににているのだ。ルークはユリアの秘預言は知らないはずなのだから。ただ、戻ってきたルークは昔以上に聡かった。まるで自分がこれからどうなるのか知っているかのように。
「ルークは未来を知っているのかもしれぬな」
「お父様?」
「ナタリア、よく話してくれた。ルークの言う通りだな…血が繋がっていないと解ってもお前の事を愛おしいと感じる…お前は間違いなく私の娘だ」
ナタリアは熱くなる目頭を押さえてインゴベルトに抱き着いた。
「私、本当に幸せものですわ。だって私には素敵なお父様が二人もいるんですもの」
「ナタリア…」
その時コンコンと窓が叩かれた。そこにいたのはグレースだった。緩く編まれた三つ編みが風に靡いている。
「ナタリア様、お決まりになりましたか?」
グレースは口元だけでにこやかに笑っている。仮面に隠れて表情はあまり解らないのだが。
「グレース…」
「今日でバチカルでの調べ物が終わってしまったのでご報告をと思いまして…ラルゴと私はダアトへ帰らなければならないので」
グレースは最後にもう一度会わないかと聞いているのだ。おそらくナタリアとインゴベルトの会話は聞いていたのだろう。なんだかとても嬉しそうだった。
「お父様…」
「会ってきなさい、ナタリア。出来れば今度は城に尋ねて来るようにとも」
「?」
「私も話がしてみたいのだよ」
インゴベルトは笑ってナタリアの髪を撫でた。ナタリアはインゴベルトに満面の笑みを浮かべると、グレースの手をとってインゴベルトの私室を後にした。
後日、インゴベルトに呼ばれ城を訪れたラルゴはインゴベルトとしっかり話し、幸せそうなナタリアを優しく見守ると言うことで一致した。未来は少しずつ変わっているようだ。
Next→ダアト
〈ファブレ邸調理場〉
「ルーク、何故抜けてこられなかったのです?港に来いと言ったのは貴方でしょう」
「だから、警備が何故か厳しかったんだっつーの!なんか最近不審者がこの辺うろついてるって」
喋りながらルークの手は生クリームを泡立てるのを止めない。甘いはずのクリームにルークはあまり砂糖を入れていなかった。しかもクリームは低脂肪。変な気遣いだ。
「グレースの方が余程紳士的でしたわ。女性なのに凛々しくて」
「グレースは男だぜ?」
ナタリアは苺を潰す手を止めた。これは生地に入れるものだ。
「殿方…でしたの…?では何故スカートを……」
「…ヴァン師匠の趣味。とりあえず俺は餌食になりたくない。ついでに六神将の軍服、ヴァン師匠の手縫い」
おそらくラルゴはこの事を知らない。きっと知ってしまえば拒否して六神将をやめてナタリアの近衛兵かなんかになってしまう気がする。ナタリアの顔は引き攣っていた。
「あ、ナタリア、俺がグレースと仲いいのヴァン師匠には内緒な?」
「何故ですの?」
「よくいうだろ?死人に口無しって」
ルークはそう言って笑った。
・説明マジなが過ぎ!テンポ少し悪いわ…
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