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気まぐれにNL・BLetc.健全から危ないモノまで。 今のとこメインはDMCとTOA。
2025年05月17日 (Sat)
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2007年06月09日 (Sat)
「リグレット、何処に行くんです?」
「グレースか…」

リグレットは後ろから声をかけられ振り返った。立っていたのはグレースでいつも隣にいるアッシュは見当たらない。

「ユリアシティに行くが、何か用でもあるのか?」
「えぇ、ヴァンに復讐でもしようと思いましてリグレットなら総長の弱点知っていそうだなと」

リグレットは目を見開いた。グレースの言うことはつまりヴァンを裏切ると言うこと。

「閣下を裏切るつもりか」
「先に裏切ったのはヴァンですから…リグレットはもう良いんですか?復讐しなくても」

グレースは笑いながらそう言った。リグレットはそこでこの場に自分達以外の人間が居ないことに気付く。

「何のつもりだ」
「きっとティアは反対なさるでしょうね。レプリカ世界」
「何が…言いたい…」
「手を組みませんか?」

グレースはリグレットの前まで歩いていきながら問う。リグレットはじりっと一歩下がった。

「手を組む?」
「はい。私はヴァンの計画を邪魔したい。貴女はヴァンに復讐したい…利害が一致すると思うんですが」
「私が閣下を裏切るとでも?」

リグレットは自分にはもうヴァンを裏切るつもりは無く、寧ろグレースが裏切るつもりなら即刻ヴァンに報告すると言う事を目で語る。

「別に報告して下さっても構いませんよ?その時はアッシュとルークレプリカを連れて離脱しますから」
「脅す気か」
「はい。アッシュには迷惑かも知れませんが、ヴァンの計画を潰すには1番ですから」

ルークが居なくなればキムラスカは混乱する。ただ掠ったのがマルクトでなく信託の盾騎士団の軍人ともなればキムラスカの追及はダアトに向くだろう。

「何故、そこまで…」
「私の被験者を助けるためですよ」
「グレース…貴様…レプリカか?」
「はい、レプリカですよ?それがどうしました?」
「レプリカ世界を否定する理由はなんだ」
「私の被験者は近い将来…といっても五年以上は先ですが、ヴァンに殺されるんです。レプリカ世界に反対してヴァンを裏切って」

グレースは唯坦々とした口調で話す。その声に怒りと言う感情は篭っていない。あるのは哀しみだ。

「ティアも一緒に」
「何、貴様今なんと」
「ティアは辛うじて生きていましたけどね、ヴァンの手にかかる前にヴァンが討たれましたから。でもそれでは意味が無い」

グレースは望みを口にする。動揺したリグレットは咄嗟に譜銃をグレースに向かって撃った。グレースの仮面が弾き飛ばされる。グレースは無言で仮面を拾って付けた。リグレットがグレースの顔を見ることは叶わない。

「グレース…お前は預言者か?」
「いえ?これは数ある未来のひとつ。でも、この未来はたくさんの人を殺す。だから私は戻ってきた。私は死人なんですよ、リグレット」

グレースはリグレットの髪を触る。

「私は欲張りなんです。みんな助けたい…たとえ未来が違えても…私は貴女にも生きていて欲しい…ティアの為にも」
「ティアの為に?」
「はい。考えておいてくださいリグレット…期限は七年…」

グレースは笑い、踵を返して行こうとする。

「グレース、貴様は何故ティアを気にかける?」
「貴女を殺して泣くティアをもう見たくないんですよ」

リグレットはそこでティアが何らかをきっかけにヴァンの計画を知ってしまう事に気付いた。

「貴様がティアに喋ったのか?」
「その時の私は無知で愚かな傀儡人形でしたよ」
「なら」
「ティアはヴァンと貴女を慕っていますからね…僅かな違いも見逃さないんだと思いますよ」

そこで思い出したようにグレースは何処からかリボンのかかった袋を取り出す。

「ティアにあげて下さい」
「なんだこれは」
「ブウサギの縫いぐるみです。カンタビレがくれたんですが、私は男ですし、アリエッタはお友達の餌と勘違いしていたので」

グレースは苦笑していた。さっきのような悲しそうな笑い方ではない。

「ティアは私が死んだら泣いてくれるのだな…」
「優しいですからね…だからティアは貴女もヴァンも許せなかったんだと思います。許したくても」
「グレース」
「アッシュ」
「話しは済んだか?」
「はい、ではリグレット私はこれで失礼します」

グレースはアッシュに連れられてリグレットから遠ざかっていく。

「もう泣かせたくない…か」

グレースはティアが自分を殺すのだとそう言った。ならばそうなのだろう。グレースにもアッシュにもレプリカ計画の事は一切話していない。なのに知っているのはきっとグレースがレプリカだからだ。

「私も…泣かせたくはないな」

しかし手は組めない。預言を無くすという事を捨てきれはしないから。

「すまない、ティア…」

リグレットはそう呟いて、ダアトを後にした。

Next→ダアト・ザレッホ火山

『で、説得出来たのか?』
『どうだろ?でも少しは解ってくれたと思う…多分』

回線で会話しながら、イオンの私室に二人は向かっていた。リグレットの事を話す為だ。

『随分曖昧だな』
『リグレットも預言を憎んでるからそう簡単にはいかないよ。でもティアを泣かせるようなことはしないと思う』

ルークが手首を振るとちゃりと音がした。

「手首にしてるのか?」
「えぇ…私は貴方のものですから、わかりやすく」

ピシリとその場の空気が凍った。

『確信犯か?』
『アッシュに余計な虫つくのやだもん』

二人はその場の空気をものともせずイオンの私室へと歩いていくのだった。

後日、その噂を耳にしたイオンがアッシュを散々からかうのはまた別の話である。

・アッシュとルークが肉体関係持つのはまだまだ先ですが(苦笑)
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